茅ヶ崎に住んで20年以上になる。移住前に読んだ「湘南の暮らし」記事は、どれもきれいごとばかりだった。だから住んでからしかわからないことを、この記事に全部書く。
茅ヶ崎は「ほどよく都会、ほどよく海」とよく言われる。その表現は正確だ。藤沢ほど都市化されておらず、鎌倉ほど観光地でもない。湘南に住みたいと思った人が、家賃・通勤・生活コストを現実的に計算した末にたどり着く街が、茅ヶ崎だ。
人口:約24万人|東京駅まで約62分(JR東海道線)
新宿まで:約72分(湘南新宿ライン)|横浜まで:約31分
使える路線:JR東海道線のみ(相模線も茅ヶ崎始発あり)
海(サザンビーチ)まで:自転車10分圏内
1K家賃相場:6.5〜8.5万円(藤沢比15%安)
📌 先に結論を言う
- テレワーク中心・海好き・ファミリー層 → 湘南で最もコスパが良い選択肢
- 家賃は藤沢より15%安く、同じ予算で1部屋広い家に住める
- 2025年に待機児童ゼロを達成。子育て世帯の安心感は湘南トップ水準
- 東京まで62分の通勤は「テレワーク×週数回出社」なら許容範囲内
- 不動産は上昇継続中。「様子を見る」戦略は費用対効果が悪い
茅ヶ崎の家賃相場【2026年版】エリア別に解説
茅ヶ崎の家賃は藤沢より一回り安く、湘南エリアの中では最も現実的な価格帯だ。同じ予算なら藤沢より広い部屋に住めるというのが最大のメリットで、子どもが増えてファミリー向けの広さが必要になったときに特に効いてくる。
| 間取り | 茅ヶ崎相場 | 藤沢相場(参考) | 差額目安 |
|---|---|---|---|
| 1K / 1DK | 6.5〜8.5万円 | 8.5〜10.5万円 | 月▲1〜2万円 |
| 1LDK | 9〜12万円 | 12〜16万円 | 月▲2〜3万円 |
| 2LDK | 12〜16万円 | 15〜20万円 | 月▲2〜4万円 |
| 3LDK | 15〜20万円 | 19〜26万円 | 月▲3〜5万円 |
※2026年1月時点の実勢相場目安。駅徒歩10分圏・築15年以内基準。
📍 エリア別の家賃傾向
茅ヶ崎は「どこに住むか」で家賃が大きく変わる。大まかに4つのゾーンに分かれる。
| エリア | 特徴 | 1K目安 |
|---|---|---|
| 茅ヶ崎駅南側・海沿い | 湘南感マックス。海まで徒歩〜自転車圏。夏は人が多い | 8〜10万円 |
| 茅ヶ崎駅周辺(北口・南口) | 商業・通勤の利便性。スーパー・病院に近い | 7.5〜9万円 |
| 北側住宅地(香川・鶴が台・小出) | ファミリー層に人気。静かで治安良好。駅は遠め | 6〜7.5万円 |
| 相模線沿線(北茅ヶ崎・香川駅エリア) | 茅ヶ崎の中で最もリーズナブル。車ある人向け | 5.5〜7万円 |
香川エリアは茅ヶ崎駅から自転車で15分ほどかかるが、広い庭付き戸建てが同価格帯で見つかる穴場だ。駅南エリアの「海が見えそうな物件」は相場より15〜20%のプレミアムが乗っている。塩害リスクも考えると、海から1km以上離れた立地がトータルコストで優れている場合も多い。
・相模線沿線(北茅ヶ崎・香川駅)は1K5.5〜7万円台も見つかる
・海から1km以上離れると塩害リスクが下がり、エアコン・外壁の維持費が減る
・「駅まで自転車」前提なら行動範囲が2倍になり選択肢が増える
通勤・交通アクセス:東京まで62分の現実
茅ヶ崎移住の最大の判断基準がこれだ。東京駅まで約62分という数字は「近くはないが許容できないほど遠くもない」という絶妙な水準で、週に何日出社するかで評価が180度変わる。
✅ 通勤が苦にならない人
- 週1〜3日の出社(テレワーク中心)
- 横浜・川崎勤務(約31〜40分)
- グリーン車を使える収入がある
- 藤沢・辻堂・茅ヶ崎市内の勤務
- フリーランス・経営者
❌ きつくなる人
- 毎日都内(山手線内側)に通勤
- 残業が多く終電を気にする仕事
- 朝の満員東海道線が苦手
- 乗換なしで複数方面にアクセスしたい
- 小田急・東急・京急沿線に用事が多い
JR東海道線は藤沢〜平塚間が単線区間に近く、遅延が連鎖しやすい。特に台風・大雨の翌日は「茅ヶ崎駅で30分待ち」が普通に起きる。移住前に平日朝7時50分〜8時30分台の東海道線に実際に乗ることを強く勧める。上り方面の混雑と、藤沢・辻堂・茅ヶ崎という3駅分の乗客が重なる圧力感は、数字では伝わらない。それを体験した上で「それでも住みたい」と思えるなら、後悔はしないはずだ。
東京駅:約62分|新宿:約72分|渋谷:約65分
横浜:約31分|川崎:約45分|品川:約52分
藤沢:約4分(隣)|小田原:約29分
相模線(茅ヶ崎〜橋本)は本数が少なく通勤には不向きだが、休日に相模川流域や相模原方面へのアクセスには使える。車があれば圏央道・新湘南バイパスが近く、週末ドライブや箱根・伊豆方面へのアクセスは良好だ。
茅ヶ崎の治安【エリア別マップ付き解説】
茅ヶ崎市の犯罪認知件数は年間約1,237〜1,343件(令和6〜7年暫定値)で、人口約200人に1件という遭遇率は湘南4市の中で鎌倉に次ぐ水準だ。全体としては安全な街だが、エリアによる差はある。
🟢 治安が良いエリア
- 北側住宅地(香川・小出・鶴が台)
- 駅南側の戸建て住宅街
- ファミリー層が多い新興住宅地
- 海岸通り沿いの閑静エリア(平日)
🟡 注意が必要な場所・時間帯
- 茅ヶ崎駅周辺の繁華街(夜間)
- 海岸沿い(7〜8月の観光シーズン)
- 自転車盗難は駅前で年間を通して多め
夜の駅周辺はお酒を飲んだ観光客・若者が多い時間帯もあるが、いわゆる「怖い繁華街」という感覚はない。住宅街に入れば夜道も普通に歩ける。それより日常的に気になるのは自転車盗難で、駅前に無施錠で置くと高確率でなくなる。これは茅ヶ崎に限らず湘南全域に言えることだ。
茅ヶ崎の子育て環境【待機児童ゼロ・海育ち・地域力】
茅ヶ崎の子育て環境は湘南エリアの中でもトップクラスだ。特に2025年4月時点で待機児童ゼロを達成(5年ぶり)したことは、藤沢(17名)・鎌倉と比較して大きなアドバンテージになっている。
| 項目 | 茅ヶ崎 | 藤沢 | 鎌倉 |
|---|---|---|---|
| 待機児童数(2025年4月) | 0名 ✅ | 17名 | 要確認 |
| 1K家賃相場 | 6.5〜8.5万 | 8.5〜10.5万 | 9〜13万 |
| 海・公園の豊かさ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
| 中学受験塾の充実度 | △ | ○ | ○ |
✅ 子育てのプラス面
- 待機児童ゼロ達成(2025年4月)——保育所に入りやすい
- サザンビーチ・茅ヶ崎公園が日常の遊び場。海遊びが「当たり前」になる
- 地域コミュニティが強く、ママ友・パパ友ネットワークが自然に形成される
- 藤沢より家賃が安く、同じ予算で子ども部屋が確保しやすい
- 市内に大きな公立高校が複数あり、教育選択肢は十分
・中学受験を視野に入れているなら、塾・進学教育環境は藤沢・横浜より選択肢が少ない
・共働き増加で人気エリアの保育所は競争が発生することもある。早めの情報収集を
・小児科・病院の数は藤沢と比べてやや少ない(重症時は藤沢・平塚に行く場合も)
子どもが海・砂浜・自然の中で育つ環境は、数字に出ない価値がある。茅ヶ崎の子どもたちは夏になると当然のように海に行き、秋になればサザンオールスターズの曲が街中で流れる。「湘南育ち」というアイデンティティは、大人になっても子どもの財産になる。
茅ヶ崎の不動産価格と資産性【2026年版】
茅ヶ崎の不動産は湘南エリアの中では「現実的に手が届く価格帯」だ。ただし上昇トレンドが続いており、2026年時点で坪単価の変動率は+6%超。「下がるのを待つ」という戦略が費用対効果として成立しにくい局面になっている。
| 物件種別 | 価格目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 中古マンション(3LDK) | 2,400万〜4,500万円 | 築年・駅距離で大きく変動 |
| 新築マンション | 4,500万〜7,000万円+ | 駅近・海近プレミア物件はこれ以上 |
| 中古戸建 | 3,500万〜8,500万円 | 海近・駅近は相場より20〜30%高 |
| 土地(坪単価目安) | 70万〜130万円 | 上昇継続中(+6%超/年) |
・テレワーク定着により「都内70分圏の海沿い」は希少性が上がり続けている
・茅ヶ崎の地価は藤沢・辻堂より割安だが、上昇率は同等かそれ以上
・中古戸建(3,500万〜5,000万円台)は内装リノベ込みで実需・転売どちらにも対応可能な価格帯
・相模線沿線エリアは割安感があるが、将来の利便性向上(バス・整備)次第で変わる可能性あり
藤沢・辻堂・茅ヶ崎 3エリア比較
| 項目 | 藤沢 | 辻堂 | 茅ヶ崎 |
|---|---|---|---|
| 東京駅まで | 51分 | 55分 | 62分 |
| 1K家賃相場 | 8.5〜10.5万 | 7.5〜9万 | 6.5〜8.5万 |
| 商業施設 | ◎(テラスモール等) | ◎(テラスモール湘南) | △(近年改善中) |
| 湘南らしさ | ○ | ○ | ★★★★★ |
| 待機児童(2025年) | 17名 | (藤沢市内カウント) | ゼロ達成 |
| こんな人向け | 利便性×通勤重視 | バランス型ファミリー | 海×コスパ×子育て |
正直に言うと、商業施設の充実度は辻堂・藤沢に軍配が上がる。茅ヶ崎は大型ショッピングモールが弱く、週末の本格的な買い物は藤沢方面に出ることが多い。ただし「地元に根ざした個人店・飲食店」の豊かさは茅ヶ崎が突出している。生活インフラをスーパー・コンビニ・ドラッグストアで完結できるなら、日常の不便はほぼない。
茅ヶ崎に向いている人・向かない人
✅ 向いている人
- テレワーク・週3日以下の出社
- 海の近くでゆったり暮らしたい
- 藤沢より安い家賃で広い部屋に住みたい
- 子育て環境(保育所)を重視する
- 地域コミュニティを大切にしたい
- 「湘南らしさ」を日常として感じたい
- 湘南エリアで不動産取得を検討中
❌ 向かない人
- 毎日都内(山手線内側)に通勤
- 大型商業施設が徒歩圏に必要
- 都市の刺激・夜の娯楽を重視
- 複数路線のアクセスが必要
- 中学受験塾を徒歩圏に確保したい
まとめ|茅ヶ崎は「湘南の夢」と「生活の現実」の折り合いがつく街
茅ヶ崎は「湘南に住みたい」という感情と、家賃・通勤・子育てという現実の計算を、両方満たせる数少ない街だ。藤沢よりコスパが良く、鎌倉より実用的で、辻堂より湘南らしい。
📋 チェックリスト
- 家賃は藤沢より15%安く、同じ予算で広い部屋・子ども部屋が確保しやすい
- 待機児童ゼロ(2025年)で子育て世帯の安心感は湘南エリアトップ水準
- 東京62分の通勤は「テレワーク×週数回出社」なら十分許容範囲
- 地域コミュニティが温かく、移住者の定着率・満足度が特に高い街
- 不動産価格は上昇継続中。「様子を見る」より早めの判断が得策
移住を考えているなら、まず平日朝と、夕暮れ時の2回、現地を歩いてみてほしい。朝は通勤電車のリアルを、夕暮れは海と街のリズムを体で覚える。どちらも納得できたなら、茅ヶ崎はあなたに合っている。

