2026年2月、RIZAPグループが湘南ベルマーレの株式をすべて手放しました。2018年から8年続いた「RIZAPのベルマーレ」が終わったわけで、当時は「この先クラブは大丈夫なのか」という声を周りでもよく聞きました。
あれから8か月。経営の顔ぶれは入れ替わり、チームは8月に始まった2026/27シーズンのJ2を戦っています。この記事では、誰がクラブを支えているのか、J2でどこまで戦えているのか、そしてスタジアム問題は動いたのかの3つを、公式発表と試合結果をもとに整理しました。前回の記事(湘南ベルマーレの現在地)の続きです。
RIZAPの株は6社に分かれて渡った
まず事実関係から。RIZAPグループが2026年2月20日に出した開示によると、グループ会社のRIZAPスポーツパートナーズが持っていたベルマーレ株13,587株(発行済みの約50%)は、フジタを代表とする6社にそれぞれ譲渡されました。
| 譲渡先 | 株式数 | 比率 |
|---|---|---|
| フジタ | 4,000株 | 14.72% |
| アマダ | 4,000株 | 14.72% |
| 産業能率大学 | 1,500株 | 5.52% |
| マッケンジーハウス | 1,500株 | 5.52% |
| Authense Holdings | 1,500株 | 5.52% |
| 日本端子 | 1,087株 | 4.00% |
※比率はベルマーレの発行済み株式全体に対する割合。出典:RIZAPグループ「子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」(2026年2月20日)
表を見るとわかるとおり、どこか1社が過半数を握る形にはなっていません。いちばん多いフジタとアマダでも15%弱で、RIZAP時代のように「親会社がひとつある」体制から、地元にゆかりのある複数の企業で持ち合う体制に変わりました。ベルマーレの前身は、フジタ(当時のフジタ工業)のサッカー部です。いわば「元の持ち主」が中心に戻ってきた格好です。
3月1日には臨時株主総会と取締役会が開かれ、雲出哲也氏が代表取締役社長に就きました。非常勤の取締役には、フジタ、アマダ、産業能率大学、Authense Holdings、日本端子などから人が入っています。株主の顔ぶれがそのまま経営に参加している形です。
ユニフォームの胸はフジタ、鎖骨はアマダ。スポンサー面でもこの2社が前に出ていて、「RIZAPの次の中心はフジタ」と言いたくなる気持ちはわかります。ただ持株比率を見るかぎり、フジタが新しい親会社になったわけではありません。1社の判断でクラブの方向が決まらないのは安定材料でもあり、意思決定が遅くなるリスクでもある。ここは今後を見ていくしかないところです。
J2は12試合で4勝7分1敗、6位
秋春制に移行したJリーグの2026/27シーズンは8月に開幕しました。その前の春に行われた特別大会「明治安田J2・J3百年構想リーグ」で、湘南はEAST-Aグループ3位(18試合で勝点31)。圧倒的ではないものの、大崩れもしない滑り出しでした。
本番のJ2はここまで12試合を終えて、成績は次のとおりです。
| 日付 | 相手 | H/A | 結果 | 入場者数 |
|---|---|---|---|---|
| 8/8 | 大分 | A | ○ 1-0 | 14,373 |
| 8/15 | 山形 | H | ○ 1-0 | 11,583 |
| 8/22 | 宮崎 | A | △ 0-0 | 2,918 |
| 8/29 | 大宮 | A | △ 2-2 | 11,657 |
| 9/5 | 仙台 | H | ● 1-3 | 9,069 |
| 9/12 | 八戸 | A | ○ 1-0 | 2,990 |
| 9/19 | 秋田 | H | △ 1-1 | 6,515 |
| 9/26 | 今治 | A | ○ 2-1 | 4,360 |
| 10/3 | 藤枝 | A | △ 1-1 | 5,653 |
| 10/11 | 新潟 | H | △ 1-1 | 13,545 |
| 10/17 | 富山 | A | △ 1-1 | 7,193 |
| 10/21 | いわき | H | △ 1-1 | 5,239 |
※Jリーグ公式サイト掲載の試合結果より。勝点は19(4勝×3+7分)。リーグ戦のみ、天皇杯・ルヴァンカップは除く。
数字だけ見ると、負けたのは仙台戦の1つだけ。12試合で1敗というのは悪くありません。気になるのは引き分けの多さで、7分のうち5つが1-1、しかも10月に入ってからは4試合連続で1-1です。先制しても追いつかれる、追いついても勝ち越せない。昨季J1で長く勝てなかった時期を見ているだけに、「負けないけれど勝ちきれない」状態が続くのは少し不安になります。
とはいえ、まだシーズンの3分の1にも届いていません。12試合で6位という位置は、昇格を語るにも失速を語るにも早い、というのが正直なところです。
J2に落ちても、ホームには平均9,000人台が来ている
前回の記事を書いたとき、いちばん意外だったのが観客数でした。今回もそこは変わっていません。J2のホーム5試合の入場者数は、山形戦11,583人、仙台戦9,069人、秋田戦6,515人、新潟戦13,545人、いわき戦5,239人。平均すると約9,190人になります。
新潟戦の13,545人は、収容15,380人のレモンガススタジアム平塚がかなり埋まる数字です。一方で、水曜開催だったいわき戦は5,000人台まで落ちました。平日夜の試合は平塚まで通うハードルが上がるので、ここは日程の影響も大きいと思います。
ネットでは「ベルマーレ出ていけ」のような強い言葉が検索候補に出てくることもあります。ただ、降格して親会社も抜けたクラブに、週末なら1万人前後が足を運ぶ。強い言葉と、スタジアムに来る人の数は、同じ地域の中で両方とも本当なのだと思います。
スタジアム問題は、動いていない
新スタジアムについては、2026年10月時点で建設が決まった、あるいは具体的な計画が進んだという公式発表は確認できませんでした。クラブは今もレモンガススタジアム平塚をホームにしていて、今季の試合運営もここを前提に進んでいます。
この問題は、クラブが2023年ごろに収容2万2,000人規模の新スタジアム案を平塚市に示し、市長が「一方的な提案」と受け止めたと報じられたあたりから、話が止まったままです。場所、費用を誰が出すのか、そもそも新設が必要なのか。論点はどれも片づいていません。
ひとつ確かなのは、観客が来ていることと、税金で新しいスタジアムを建てるべきかどうかは、別の問題だということです。愛着があるから建てていい、という話にはならないし、財政が厳しいからクラブは要らない、という話でもない。ここを混ぜてしまうと、また同じ言い合いに戻ってしまいます。
RIZAP撤退から8か月の現在地
経営:RIZAPの株はフジタ・アマダなど6社に分散。1社が支配しない体制へ
チーム:J2で12試合4勝7分1敗の6位。負けないが、勝ちきれない
スタジアム:新設の具体的な動きはなし。問題は持ち越し
RIZAPが抜けたことでクラブが崩れたかといえば、そうはなっていません。新しい株主が経営に入り、スポンサーも続き、ホームには人が来ている。一方で、J1に戻れたとしても、その先には手つかずのスタジアム問題が待っています。クラブが強くなるほどこの問題が大きくなる、というのは少し皮肉な話です。
なおのひとこと
RIZAP撤退のニュースが出たときは、正直「ベルマーレはどうなるんだろう」と思っていました。8か月たって追いかけてみると、クラブは思っていたより普通に動いていて、新潟戦の1万3千人という数字には少し驚きました。湘南に住んでいると平塚のスタジアム問題はどこか隣町の話に聞こえがちですが、「湘南」の名前を背負っているクラブです。シーズンの折り返しが見えてきたころに、また続きを書こうと思います。

