フジサワ名店ビル閉店は2031年に延期|新ビルは「最短2035年」、この再開発は本当に決まるのか

湘南コラム
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藤沢駅南口の「フジサワ名店ビル」。2027年夏で閉店と聞いて、「じゃあ今のうちに」と足を運んだ人も多かったはずです。

ところが2026年9月、館内セールの告知ポスターに「閉店予定は2031年に変更」という一文が載りました。延期そのものは、7月に再開発の準備組合が発表していた計画見直しの流れです。

名店ビルが残るのは素直にうれしい。ただ、中身を追っていくと「延期」というより「いつ決まるのか誰にも読めない」状態に近いな、というのが正直な感想です。この記事では、報道されている事実と、茅ヶ崎から藤沢に通い続けている地元民としての見方を分けて整理します。

何が変わったのか:閉店は2031年、新ビルは「最短」2035年

対象は、名店ビル・ダイヤモンドビル・CD(プライム)ビルの3棟がある「藤沢駅南口391地区」。3棟をまとめて地上17階・地下2階の複合ビル(店舗・オフィス・ホテルなど)に建て替える計画です。

2026年7月の発表と報道をまとめると、変更点はこうなります。

  • 全館閉店:2027年度 → 2031年に延期
  • 着工:2027年 → 2031年以降に先送り
  • 新ビル竣工:2032年頃 → 最短でも2035年

「最短」という言葉がついている点に注意です。事業費のめどは立っていないと報じられていて、ここから先もずれる可能性は残っています。

ゴールが動き続けてきた経緯

今回が初めての延期ではありません。報道ベースで時系列を並べると、目標が少しずつ後ろへ動いてきたのがわかります。

時期 出来事
2017年 耐震診断で名店ビルとCDビルに「大地震で倒壊の恐れが高い」との結果。同年、再開発の準備組合が発足
2023年6月 藤沢市が都市計画決定。当時は2029年の整備目標と報じられる
2024年6月 営業終了「2027年夏」、竣工「2031年秋」と報道(当初想定の2026年夏閉店から約1年後ろ倒し)
2026年2月 準備組合の理事会で、従来の計画のままでは進められないと確認
2026年7月 計画見直しを発表。全館閉店は2031年へ、竣工は最短2035年
2026年9月 館内セールのポスターに「閉店予定は2031年に変更」と明記

都市計画決定の時点で「2029年」だったものが、3年で「最短2035年」。数字だけ見れば6年のずれです。

なぜ進まないのか:お金だけの問題ではない

一番大きいのは工事費の高騰です。資材価格と建設業界の人手不足で、総事業費は当初見込みの約270億円から約400億円規模へ、ざっと1.5倍にふくらんだと報じられています。権利者全体で約70億円の追加負担が生じる試算も出ていました。

ただ、報道を読み比べると「物価が落ち着けば解決」という単純な話でもなさそうです。

再開発の「稼ぐ手段」が限られている構造

① 売れる床が増えにくい
再開発は、建て替えで増えた床(保留床)を売って工事費に充てるのが基本の仕組みです。ところが既存の3棟は昭和期の基準で敷地いっぱいに建っていたため、今の基準で建て直しても売却できる床をあまり上乗せできないとされています。

② マンションが建てられない
この地区は都市計画上、住宅が用途に含まれていません。駅前再開発でよく使われる「上層階を分譲マンションにして資金を回収する」手が使えません。

③ 集客施設を入れると駐車場でさらにコスト増
大型の集客施設や病院の誘致も検討されたものの、必要な駐車場を整備すると建設費がさらにかさむため見送られたと報じられています。

つまり「高くなった工事費を、何でまかなうか」の答えがまだ見つかっていない。延期はその答えを探すための時間、と読むのが実態に近いと思います。

準備組合側は「再開発をあきらめたわけではない」とコメントしていて、当面は各店舗の営業継続を支える方針だそうです。市も国への予算要求を含めて協力する姿勢を示しています。

延期=全部のお店が残る、ではない

ここは誤解しやすいポイントなので、はっきり書いておきます。

有隣堂藤沢店(名店ビル2〜5階)は、2025年10月に「2027年末で閉店」と発表しています。2026年7月時点の報道でも、閉店に向けた企画展を展開中と伝えられていました。ビル全体の閉店延期とは別に、お店ごとの判断で閉めるケースがあります。

ダイヤモンドビル地下1階のスーパー「やまか藤沢店」も、全館閉店を待たずに2026年7月末で閉店しています。

目当てのお店がある人は、各店の公式発表を確認するのが確実です。

もうひとつ、あまり話題にならない点があります。そもそも再開発の出発点は2017年の耐震診断でした。閉店が延びるということは、その建物で営業が続く期間も延びるということです。すぐにどうこうという話ではありませんが、利用する側としては頭の片隅に置いておきたい事実です。

「本当に進むのか」を見分ける3つの節目

「2031年閉店」も、今の段階では予定にすぎません。計画が動き出したかどうかは、次の手続きが予定どおり進むかで判断できます。業界紙の報道では、見直し後のスケジュールは次のとおりです。

  • 2027年度中:事業計画の見直しをまとめる
  • 2029年:本組合(正式な再開発組合)の設立
  • 2030年:権利変換計画の認可

ポスターの「2031年」より、この3つのほうがよほど信頼できる物差しです。特に2027年度の見直し案で、事業費の穴がどう埋まるのかが最初の山場になりそうです。

なおのひとこと

茅ヶ崎に住んで20年以上、藤沢駅南口は「ちょっと大きい買い物」の定番エリアでした。名店ビルの低い天井と、ぎゅっと詰まった店の並びは、新しいビルでは絶対に再現できない空気だと思います。

なので延期はうれしい。でも、ゴールが2029年→2031年→2032年→2035年と動いてきたのを見ると、正直「永遠に決まらないのでは」という気持ちも半分あります。個人的な見立てですが、2027年度の見直し案が出るまでは、どの年号も話半分で聞いておくくらいがちょうどいいと感じています。

南口の景色が変わるのはまだ先。それまでは、残っているうちに通っておく。地元民としてはそれしかないですね。

藤沢への住み替えを考えている人へ

藤沢駅周辺は、北口側や南北自由通路の整備などで少しずつ姿を変えています。一方で南口の名店ビル周辺は、少なくとも数年は今の街並みが続く見込みです。「駅前が新しくなるから」を住み替えの決め手にするなら、南口についてはかなり長い目で見る必要があります。

逆に、藤沢市内で駅まわりの変化が先に形になりそうなのは、藤沢駅と大船駅の間に計画されている村岡新駅(仮称)の周辺です。2032年ごろの開業を目指してすでに工事が始まっていて、南口の再開発よりも具体的なスケジュールが見えています。こちらも計画どおりに進むかは見ておく必要がありますが、街の変化を住まい選びに織り込みたいなら、南口と村岡の両方を並べて見ておくと判断しやすくなります。

藤沢という街の住みやすさ全体については、こちらでまとめています。

※本記事は2026年9月28日時点の報道・公開情報をもとに作成し、10月25日に最新の報道を再確認しました(この間、スケジュールや事業費についての新たな発表は確認できていません)。事業費やスケジュールは報道によって数字に幅があり、今後変更される可能性があります。最新情報は準備組合や藤沢市の発表をご確認ください。

出典・参考

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